「みかん農家の方々のお仕事」から思うこと
2023年7月4日 11時30分朝から晴れ間が広がる好天となっています。子どもたちは、青空の下、ずっと我慢してきたプールでの授業を思う存分楽しんでいます。
一方で、本日は急激な気温上昇に伴い「暑さ指数」もうなぎ上りになる可能性がありますので、「環境省熱中症予防情報サイト」をチェックしながら、「今治市の暑さ指数(WBGT)」の推移をこまめに確認しています。ちなみに10時現在の指数は「26.6」で「警戒レベル」となっています。
さて、本日は、3年生の教室を回ってみました。
最初に教室に入らせてもらったクラスでは、社会科の授業を行っていました。歴代の今治市の社会科主任の先生方が中心となって作成(定期的に更新)した「今治のくらし」という冊子を使って、「農家の仕事」についての学習をしていました。今日の学習では「みかん農家の方々が、おいしいみかんを作るためにしている仕事」について調べていました。
ところで、ブログをご覧くださっているみなさんは、「みかん作り」をされた経験はありますか?自身は、実家がみかんを栽培(そんなに広くはありませんでしたし、副業としてでしたが…)していましたので、中学生の頃までは両親の手伝いをよくしていました。あの頃の懐かしい風景や記憶を回想しながら授業を見させてもらいました。
主な仕事として資料に紹介されていたのは、次のような作業内容でした。
3月 土作りをする〔肥料をやる/剪定をする〕
4月 雑草を取り除く
6月 摘果(てきか)をする/消毒をする(3月まで何回も)
9月 収穫をする(~4月頃まで)
文字にしますと、「この程度か…。」という印象を持たれるかもしれませんが、実際は、相当大変な仕事です。
例えば、「4月 雑草を取り除く」と、一行のみの表現となっていますが、当然この除草作業は4月だけではなく、1年間で何回も(何十回も)繰り返す農作業です。特に夏場の除草は地獄のような暑さの中でしますので、上着もズボンも汗でぐっしょりになります。作業の合間に上着を絞りますと、染み込んだ汗がボタボタボタッとしたたり落ちるほどでした。 今思い返しますと、「あの頃、よく熱中症にならなかったものだな…。」と。
さらに、この除草作業以上に重労働だったのが、冊子には紹介されていませんでしたが「潅水(かんすい)作業」でした。夏場の水やりです。潅水といっても、みかん畑に水道(蛇口)があるはずもなく、みかん畑から一番近い「ため池」や「小川」を探して、そこから水を汲んで潅水します。大型のポンプを運搬・設置して水を吸い上げ、何百メートルもホースをつないでみかん畑に送り届け、1本1本の木の根元に潅水して回ります。
みかん畑といいましても、平地の畑だけでなく、山の急斜面を開墾した段々畑もありましたので、重いホースを引き上げ、這わせる作業はなかなかの重労働でした。我が家では、ポンプの設置や調整、操作は大人の仕事で、ホースを這わせて潅水したり、潅水後にホースを回収して軽トラに積み込んだりする作業は主に子ども(私)の仕事でした。中学生になってからはそうでもありませんでしたが、小学生だった頃は、肉体的にも精神(任された責任の重さ➡潅水の仕方がマズイと木が弱る・場合によっては枯れる)的にもかなりキツイ仕事でした。が、そうした体験を通して学んだことや身に付けたことは多々あったと思います。
メタバースなど、バーチャル体験の機会・時間が増え続けている現状の中、子どもたちに実体験させることの大切さを思わずにいられません。理科の学習でアルコールランプに火を点ける際、子どもたちにあえてマッチを使わせることがあります。今の子どもたちのほとんどは、マッチ棒にスムーズ&スマートに火を点けることができません。日常生活の中で、マッチを使ったことがない…どころか、見たことすらない子どもたちが増えています。オール電化のご家庭では、「炎を見たことがない子どもたち」もいるのではないでしょうか?
今後、学校という空間は、「教科等の学習の場」である以上に「実体験をさせる場(人間関係づくりも含めて)」としての位置付け・意味合いが強くなっていくのではないかと、予想しています。極論しますと、前者は主にAIが担い、後者を学校が担う時代がそう遠くない未来に訪れるのではないか…と。
話が少しそれてしまいました。元に戻します。
子どもたちの授業の様子を見ていて、印象的だったのは「摘果(てきか)作業」について話し合っていた場面でした。ブログをご覧くださっている皆さんは「摘果」って何のことか分かりますか?自身が子どもの頃は「てきか」ではなく「てっか」と言っていました。当然のごとく、漢字で「摘果」と書くなどということは全く知らず、頭の中には「テッカ」という片仮名の響きしかなかったように思います。(笑)
二字熟語「摘果」の意味は「果実を摘み取ること」です。ただし、「収穫」とは意味合いが異なります。みかんの実がまだ青く小さい段階で行う作業です。
先生からは、「せっかく実り始めたみかんの実を、どうして摘み取るのでしょう?」という問い掛けがありました。正解は「枝の太さや長さ、葉の大きさや数を見ながら、余分なみかんの実を摘み取ることで、味が凝縮された、適度な大きさのみかん(商品として高く売れるみかん)を実らせるため」です。
子どもたちからは、上記の正解に近い発表がたくさんありました。その一方で、「みかんを多く生産し過ぎると、みかんの値段(単価)が下がってしまうから。」といった意味合いの発表もありました。冊子の記述とは少しずれていましたが、発表を聞きながら、「なるほど!」「これまで学んできたことを基によく考えているなあ!」と、感心しました。3年生とはいえ、しっかり考えることができています!すばらしい!!
意見交換後は、この時間に学習したことを、各自でノートにまとめていました。学習したことを整理し直し、ポイントを押さえて書き込むことで、学びをより確かなものにすることができていたように思います。深まりのある学習振りでした。