嬉しかったエピソードー心不在焉 視而不見 聴而不聞…ー
2024年7月2日 11時48分先日、図書室で開催しました民話朗読イベントに1・2年生と一緒に参加しておりましたら、こんな出来事がありました。
5年生の男女数名が「校長先生!」と言って話し掛けてくれました。手には国語の教科書を持っています。
女の子が「校長先生、国語の勉強でこれを習いました。」と、教科書の該当ページを開いて見せてくれました。そこには小学生にとっては難解そうな漢文が載っていました。
どうやら5年生は、国語科の学習で古典(漢文)の勉強をしているようでした。自身が小学生の頃は古典の勉強をした記憶はありませんが、最近の小学校では、古典の初歩的な学習を国語科のカリキュラムに位置付けています。
子どもたちが紹介してくれたのは四つの掲載漢文の中の一つで、四書五経の中の「大学」にある有名な言葉でした。
心焉(こころここ)に在らざれば
視(み)れども見えず
聴(き)けども聞こえず
食(く)らえども其(そ)の味を知らず
(「大学」)
意味は次のような感じでしょうか…。
意識が他に向いて心が整っていないと
注意深く視ているようで、実は何も見えていない
注意深く聴いているようで、実は何も聞こえていない
味わいながら食べているようで、実は味がわかっていない
5年生の子どもたちは、こんな意味のことを言ってくれました。
「これって、校長先生が話してくれたことと同じだよね!」「人の話は耳と目と心で聴かなきゃいけないんだよね。」「ものごとは心で見なきゃいけないんだよね。」と。
子どもたちの言葉を聴きながら、私は「うち(常盤)の子どもたちって、本当にすごいなあー!!」と驚き、感動しました!! 難解な漢文を読み取り、意味を理解するだけでもなかなか大変なことなのに、この子らは国語科の学びを自身の体験に重ね合わせて解釈を深め、本質的な理解にまで高めていると感じたからです。「生きる力=生きてはたらく力」とは正にこのことだと思いました。
国語科の授業で指導してくださった5年部の先生方の力も大きいと思います。TEAM常盤・5年部スタッフのみなさん!ありがとうございます!!
実際、昨年度から今年度にかけて、校長講話や、学校行事・集会等の話の中で、子どもたちには様々な話をしてきました。その中で、確かにこの漢文に通ずるような話もいくつかしてきました。
例えば、「耳と目と心」で「聴く」ことの大切さ。
昨年度の「2学期始業式」で話しました。下にリンクをはっておきますので、興味のある方はご覧ください。
★クリック ➡ 「耳と目と心で聴くことの大切さ(令和5年度・2学期始業式にて)」
例えば、「目と心で見る(=ホンモノの見る)」ことの大切さ&「気づき・考え・実行する」ことの大切さ。
今年度の「青少年赤十字登録式」の終末辺りで話しました。こちらも下にリンクをはっておきますので、興味のある方はご覧ください。
★クリック ➡ 「目と心で見る(=ホンモノの見る)&気づき・考え・実行することの大切さ(令和6年度・青少年赤十字登録式にて)」
図書室でのやりとりに戻りますが、図書室で声を掛けてくれた5年生の男の子は、この漢文を淀みなく諳(そら)んじてくれました。☆彡 この漢文が、よほど彼の心に響いた(ささった)のだと思います。この時期の記憶は一生ものの記憶になるかもしれませんね…(*^^)v
ちなみに、5年教科書には載っていませんでしたが、上の漢文には続きの一行があります。
此れを”身を脩(おさ)むるはその心を正すに在り”と謂(い)う
意味は、「”我が身を修めるには、まず自分の心を正さなければいけない”というのはこういうことである」
「心をこめる」「心を注ぐ」ということが大切なのですね…。
改めまして、常盤っ子たちの感性の豊かさ、確かな記憶力、柔軟な思考力、そして、無限の可能性を実感させてもらった出来事でした!!