「命を守る着衣泳講習会」を開催しました!
2023年6月28日 14時10分今治消防本部並びに今治海上保安部の皆様が多数来校くださり、両部署の精鋭スタッフさん方が連携して「命を守る着衣泳講習会」を開いてくださいました。
水の事故は、着衣状態で起こるケースが多いことから、講習会では「着衣状態での動きにくさを実体験する中で、事故に遭遇してしまった場合の『命を守る行動』の在り方を学ぶ」ことを目的としてご指導くださいました。(※子どもたちの様子、反応、泳力等々を丹念に見取りながら、その場その場で臨機応変に講習内容を組み立て直してくださっていました。)
対象は常盤小学校の5・6年生で、なんと、本日午前と明日午前の2日間に渡って実施してくださいます。(本務のお仕事もある中、常盤っ子たちのために多大な時間を割いてご指導くださり、感謝しかありません。)
指導くださるスタッフ数と児童数、プールの大きさ(広さ・容量)の関係から、5・6年生約180名を4グループに分け、1グループ90分のカリキュラムを組んで実施してくださいました。子どもたちの準備物は「きれいに洗った長袖上着・長ズボン・運動靴」で、次のようなカリキュラム(講習の流れ)で、実施してくださいました。
1 「命」を守る重要ポイント!(5分)
※ スタッフさん方によるデモンストレーション(演示)
① 正しい入水
※ 授業で使用しているプールは、水温や深さ、底の形状等を知った上で入水しているが、自然の海や河川は、そうしたことがほとんど分からない上に、「流れ」がある。そうした状況下で、ザブンと一気に入水した場合、事故につながる。したがって、万が一を想定しながら慎重に入水することが大切。
② 命を守る「呼吸」と「背浮き」
※ 人間の体は、基本的には浮く構造。それは肺に空気が入っているから。したがって、水の事故に遭った際は、肺に空気をたくさん入れることが重要。その空気を体内に取り込めるのは「口」「鼻」。したがって、この二つの部位を空気中に出した姿勢を保つことが必要不可欠。そのためには、「仰向け」「脱力」「バンザイでバランス保持」等がポイントとなる。それらを満たすのが下の「背浮き」↓
▲ やってはいけないこと➡
「パニックになって暴れる(急速な体力低下を招く)」
「大声で助けを求める(肺の空気が体外に出てしまう)」
「手を挙げて助けを求める(水中にいる状態で浮かせることができるのは『体の2%』。手を挙げてしまうとそれだけで2%に達する。その結果、絶対に浮かせておかなければならない「口」「鼻」が沈んでしまう)」
2 着衣泳を体験しよう!(40分)
① 着衣しての入水➡歩く・泳ぐ➡背浮きの実体験
子どもたちは、服を着て&運動靴を履いた状態で入水し、歩いたり走ったり泳いだりしながら、「動きにくさ」を体感していました。
そうした中、スタッフさんから「動きにくいから服は脱いだ方がいいのかなあ?」という問い掛けがありました。子どもたちの反応は様々でしたが、正解は「脱がない」でした。理由は「水中で脱ごうとすると一気に体力を奪われる」「服には空気を蓄える力があるので、それを使って味方にした方が良い」とのこと。こういう知識が非常事態で「命を守る」のですね!
続いて、バディによる「背浮き」チャレンジがありました。まずは、身近な「命を守るグッズ」として「ペットボトル」を使った「背浮き」の体験・練習をさせていただきました。
その上で、自信がついた子どもたちから順に、ペットボトルなしでの「背浮き」にチャレンジしていました。
正に「手取り・足取り」で懇切丁寧にレクチャーしていただいたお陰で、子どもたちの「背浮きスキル」はぐんぐんと上達していきました。「命を守るスキル」を、短時間で着実に身に付けていった常盤っ子たちでした。
② ライフジャケットのスゴサ体験
子どもたちは、過去にライフジャケットを着用した経験はあったようでしたが、実際に水中で使った経験がある子は、ほとんどいない様子でした。
興味津々の子どもたちに、スタッフさんからライフジャケットの利点(すごくよく浮く、水中でもよく目立つカラー)や種類、装着方法等をレクチャーしていただき、実体験させていただきました。
子どもたちは、その性能の高さ(思いのほか良く浮く!)に感動していた様子でした。泳ぎが得意でない子も、ぷかぷかと浮く感覚を存分に味わっていました。
スタッフさんからは、「海や河川に出かける際は、お家の人にお願いしてライフジャケットを買ってもらい、万が一のアクシデントに備えて、着用して行動してほしいな!」という言葉掛けがありました。
子どもたちの実体験の様子を見ながら、「確かにそうだな!」「万が一、水の事故に遭遇した場合でも、ライフジャケットを身に付けていれば『命を守れる可能性』は格段にアップするな!」と痛感しました。本ブログをご覧くださっている皆様、ぜひ前向きにご検討ください。
3 休憩(10分)
4 1分間背浮きテストにチャレンジ!(10分)
ここまでの体験学習(知識の習得やスキル練習)を基に、子どもたちは「1分間背浮きテスト」にチャレンジしました。バディで見守り合いながら、また、スタッフさん方にアドバイスや励ましの言葉をいただきながらチャレンジしていました。自力では自信のない子どもたちは、ペットボトルに助けてもらいながらチャレンジしていました。
5 身近なモノ(浮具)を使って!(5分)
※ ランドセルや釣り竿・ペットボトルなど、身近なモノを使って命を救うデモンストレーション(演示)
「みなさん!ランドセルは浮くと思いますか?」との質問がスタッフさんからありました。正解は「浮く!」です。「ランドセルには空気が結構入っているからよく浮くよ!」「教科書やノートも、ページの間に結構空気が入っているから浮くんだよ!」とのことでした。
私自身、教科書のお話には驚きました。要するに、万が一の場合は、教科書やノートを入れたままでランドセルを投げても構わないということ…。1秒を争う緊急事態には、この知識が有るか無いかが、「命を左右する」ということを知りました。
続いて、釣りをしている際に友達が海に落ちてしまった場合の「釣り竿とペットボトルを使った救助法」についてデモンストレーションをしてくれました。
写真では分かりにくいのですが、釣り糸の先には少し水を入れたペットボトル(※水を少し入れることで、遠くに投げることができる。)を結び付けています。これを海に落ちてしまった友達に投げて渡します。
友達がペットボトルをつかんだら、ゆっくりとリールを巻いて友達を引き寄せ、助けます。
子どもたちは身を乗り出すようにして、デモンストレーションを見ていました。身近な道具も使い方次第で「命を救う(守る)ツール」になることを学びました。
6 チェーン・オブ・サバイバル!(5分)
※ 寸劇による「救助の連鎖」のデモンストレーション(演示)
先ほどの「身近なモノを使って命を救うデモンストレーション」を発展させた寸劇「チェーン・オブ・サバイバル」を、スタッフさん方が総出で披露してくださいました。ストーリーは次のような内容でした。
① 仲良しの二人が、下校中に少しおふざけをしていて、一人(以下A)が海に落ちてしまう。
② 落ちなかったもう一人(以下B)が、ランドセルを投げて、浮き代わりにするよう言葉を掛ける。
③ BはAに「静かに浮いて、待つんだよ!」(※暴れるな!(体力温存)/大声を出すな!(空気を肺に残す)/落ち着いて!(パニックにならない)/背浮きで!(口・鼻を海面から出して呼吸する)の観点から)と、繰り返し言う。
④ Bが絶対にしてはいけないことは、「自分で助けに行く」こと。
⑤ 近くの大人に助けを求める。→「118番(海上保安庁)」か「119番(消防署)」に通報してもらう。
⑥ 救助の専門家(海上保安庁や消防署の『救助のプロフェッショナル』)に救助してもらう。
無事救助されたのを見届けた子どもたちからは、自然に拍手が…。
7 まとめよう!「水の事故に遭ったら…?」(10分)
ここまでの講習や上記「6」で紹介・説明しました大切なポイントの一つ一つを、スタッフさん方が改めて押さえ直しながら、子どもたちに分かりやすく話して聞かせてくださいました。
そして、最後に、今治市消防本部並びに今治海上保安部の皆様から、常盤っ子たちに二つのメッセージと貴重なプレゼントを贈ってくださいました。
① 今日の体験学習で学んだことや考えたこと、感想などをお家の人に必ず話して伝えてください!
② 水の事故に絶対に、絶対に、遭わないでください!
★ 貴重なプレゼント➡「水難救済会」というボランティア団体様からのプレゼントとして、「レスキューチューブ」を常盤小学校に贈ってくださいました。
今治市消防本部並びに今治海上保安部の精鋭スタッフの皆様、本日は、大変有意義な「命を守る着衣泳講習会」を開いてくださり、本当にありがとうございました。講習会で身に付けました「知識」と「スキル」を、今後の生活にしっかり生かすことで、皆様へのお礼と恩返しにしたいと思います。